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Budgeting Process
 ブログを移行中に自分の過去の記事について、いろいろ見直していたら、ブログを始めた当初の目的である「外資系金融での働き方」についてほとんど書いてないことが改めて判明。旅行情報ばっかりなっていたので(笑)、今日は久々に仕事のことについて何か書いてみようと思います。

 多くの外資系金融の決算年度は日本と異なり、1月から12月となっています。従って、9月から10月にかけては、来年度の予算について来年度のバジェットを決定する膨大な作業があります。以前にも書きましたが私の仕事はProject Managementなので、色々な部署からあげられたリクエストを、必要に応じて予算をとってプロジェクト化します。
 
 例えばフロントの人が、「新しいタイプのビジネスを始めたい」というリクエストが上がると、どのような選択肢があり、どれを選ぶと、どれくらいの費用と時間が掛かるか、費用対効果、収益分析等、人繰りの問題といった様々な観点から分析し、その結果をスポンサー(Management)にSteering Committeeと呼ばれる意思決定をするManagerに向けての会議で、プレゼンテーションをし、彼らがそのプロジェクトを実行する、優先順位をどうするかかを決定します。

 数日で完了するようなプロジェクトから、私が今やっているような数年かかる大規模なものまで社内には何百というプロジェクトがあり、それを各ビジネスエリアごとのマネージャーがPrioritise(優先度付け)をし、与えられたバジェット内でやりくりをするというプロセスを常時行っています。ただ、基本的にバジェット枠の大規模な見直しは年1回なので、来年も多くのバジェットが欲しいManager等は、なるべく多くの予算をつけてもらうべく、多少大目の見積もりを出してきたりします。

 各ビジネスエリアが多少削られることを見越して予算を出してくるので、会社全体でみるとそれは非常に大きな金額になったりします。当然のことながら、スポンサーとなっている人はその分を稼がなくてはいけないので、いくら自分達のリクエストとはいえ、見積もりをそのまま信じて受け入れるわけには行きません。ということで「これは多すぎる。削れ!!」などと言ってくるので、その都度見直し、再提出します。外資系の場合は、日系と異なり管理会計が厳格に行われているため、そのビジネスに使われた費用は自分達で支払う必要があります。従って、自分達が稼いだ収益からコストを差し引き、残った額をベースにボーナスが配分されることになります。彼らのボーナスというのは桁が違うので、当たり前ですが皆かなり本気になるのです。
 
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バジェッティング・プロセスで疲れ果てるKumasan

 通常であれば私の今行っているプロジェクトはGlobalでもかなり重要かつ大きいバジェットのため、問題はなかったはずだったのですが、他のプロジェクトと比べて突出してたせいか、悲しいかな目をつけられてしまったのです。つまり「このプロジェクトを1年延期、または止めたらどうなるかな?」ともうプロジェクトが半分以上進んでいる中での、今更ながらの提案をされてしまったのです・・・!!。

 当然のことながら、大至急で影響を分析する必要がある一方で、自分のやっているプロジェクトもスケジュール通りに進行させるというなんとも皮肉な作業。しかも当初10月の中旬に東京へプロジェクトの関係で出張の予定だったのですが、プロジェクトが存続するかどうか分からなくなったので、急遽取りやめに。

 その後様々な工作?の結果、他のプロジェクトを削ることで私のプロジェクトは当初の予定通り遂行されることが決定。ほっと一安心といったところです。私の部署ではプロジェクトの規模によって人員の調整、つまりContractor(契約社員)を3ヶ月、半年といった単位で採用するので、この影響で何人かは契約を切るか、他の所へ配置換えとなったりするようです。まあちょっとかわいそうな気もしますが、その分、社員の2・3倍の給料をもらっているから文句は言えません。
 
 ということで来週から本来の予定よりちょっと遅れて東京へ出張することになりました(嬉)・・今年2月の出張以来の東京ですが、美味しいものを堪能してきたいと思います。

 
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 ちなみにこの写真はLondon Open Houseで英国財務省に行った際に撮ったもの。イギリスの国家予算を発表する際、財務大臣がこの「Red Box」を抱えて首相官邸から出てきます。イギリスの伝統的な行事の一つです。ちなみに当社のバジェットシステムもこの赤い箱を抱えた熊みたいな動物がキャラクターとなっています。
by kumasan_life | 2005-10-25 23:29 | 外資系金融 (14)
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